ひとづくりのまち井原

吉川 幸|岡山大学 副理事(共創教育・SDGs教育担当)

これからの「ひとづくり」におけるポイント

次世代を中心においたひとづくりは、人口減少時代にはますます重要性が高くなります。特に、地域コミュニティの関わり方は重要な鍵になります。

高校生や大学生は「社会のことを知りたい」という意欲を持っています。探究活動として糸口が見つけやすい場合には、活動を開始して試行錯誤する中で気づきを得ながら成長することができますが、糸口さえ見つけられない場合には、活動以前のジレンマを抱えたり、反動で意図的に遠ざかったりすることもあります。そんな時こそ、自分の言葉で社会について考える大切なステップになります。

生徒・学生たちが安心して安全に学べる場や機会を、地域コミュニティが提供し支援することは、声を掛け合える関係、つまり互いを思い合える豊かな土壌として、次世代という実りを育むのだと考えています。

                                                                                                                          

井原の子ども(若者)&大人たちにメッセージ

岡山大学の実践型社会連携教育科目「地域の未来デザイン」を井原市のご協力のもと開講しています。履修者には他県出身者も多く、井原にゆかりを持たない学生たちがほとんどですが、井原”志”民の皆さんが、本音のお話をしてくださる様子に心を開いていき、本気で地域課題を考える姿は眩しく、教員の側が励まされています。

井原市では「ひとづくり」がキーワードとして共有されています。さらに、自地域の次世代ばかりでなく、関わりのある次世代に対してもおおらかに受け止めていただけることは、ひとづくりのエコシステムとして機能し、いずれは井原市の子どもたちへの関わりとして還元できるようになるものと期待しています。

大学で学ぶ専門知が、地域の問題解決のためにどのように生かせるのかを科目の中で見届けることは難しいものの、井原市のひとづくりの取組は、本学学生が育つ土壌にも豊かな養分を加えてくださっています。これからもよろしくお願いいたします!

プロフィール・略歴

京都府木津川市出身。大学卒業後は民間企業で教育事業を長年担当。在職中に社会人大学院生として進学し、頻繁な出張の移動時間を書斎代わりに研究。2016年に岡山大学に転職してからは、大学の社会連携型教育を企画運営する実践型教育プランナーとして「地域ぐるみのひとづくりフォーラム」、「中四国CBL研修交流会」等を主催し、学内外を問わず次世代育成の志をもって教育に関わる人々のまなびと交流の機会を創出。2020年より准教授として岡山大学の共創教育を担い、2021年より現職。博士(総合社会文化)。第26期岡山県教育庁産業教育審議会委員、同 夢育アドバイザー、SDGsカードゲーム公認ファシリテーター等の他、高等学校の地域学や探究活動支援などにも積極的に関わっている。

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