ひとづくりのまち井原

浦崎 太郎|大正大学地域創生学部教授

これからの「ひとづくり」におけるポイント

まちの持続可能性は、子供や若者がそのまちで成功体験を積めるかどうかにかかっています。そして、その鍵はマイプロジェクト(自分らしく社会に関わっていく挑戦)を応援することです。そうした挑戦を通して成長実感をもった子供や若者は、「このまちなら、自分を応援してくれる大人や仲間がいるし、今後も何かに挑戦したら達成できそうなイメージを持てるから」と、まちに残ったり回帰したりします。つまり「次世代のための大人や地域」が本心のまちには若者が集まるのです。逆に「大人やまちのための次世代」が本心のまちは、次世代がそれを敏感に察知して、未練なく去っていくということです。「地域のために次世代を育成する」という考え方ではなく、「一人ひとりの思いや挑戦を大切にし、多様な才能が開花したら、結果として地域の持続可能性は高まる」という考え方が重要だと思います。

井原の子ども(若者)&大人たちにメッセージ

昔井原市は、ひとづくりの優先順位を高める重要性に気づき、学校と地域(行政や民間の多様な方々)の連携を推進してきた点で先駆的といえます。最近は、誰がどんな想いで何にどう挑んでいるのか傾聴しあい、尊敬しあい、助けあう動きが広まっており、希望の光が差しています。ただ、その恩恵を井原市に生まれ育った全ての子供や若者に届ける上では、まだまだ「スタートラインを切って間もない段階」にあり、より多くの皆さんの関わりが期待されます。では、どうすればよいか。実は、これからの世の中を生きていくために大切なことは、YOASOBIが紅白歌合戦で歌った「群青」に描かれています。ぜひ歌詞をじっくり味わってみてください。子供や若者は「どう生きていけばよいか?」、大人は「子供や若者にどう関わっていけばよいか?」を考えるヒントになると思います。

プロフィール・略歴

1965年3月 岐阜市生まれ。「自分らしく社会に参加できる若者」を育む高校への改革支援を通した地域創生を志し、高校と地域の協働に関する政策提言から現場への実務支援までワンストップで務める大学教員。長年、岐阜県で高校教師として勤め、中学校や博物館にも勤務。地元では「まちづくり協議会」の立ち上げにも参画し、学校と地域の連携について実践的に研究。2017年4月より大正大学地域構想研究所教授。2020年4月より現職。

・2015年5~12月 文部科学省中央教育審議会学校地域協働部会専門委員
・2018年5月~ 文部科学省 高等学校教育改革の関するアドバイザー
・2019年1月~ 同省「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」企画評価会議 座長
・2019年9月~ 全国高校生マイプロジェクト実行委員会 顧問 ・2020年4月~ 総務省 地域力創造アドバイザー

aro4031(浦崎太郎 個人サイト)